ブランド物に心惹かれる人は多い。ルイ・ヴィトンのバッグ、ロレックスの時計、エルメスのスカーフ。それらがもつ“何か”が、私たちの心を揺さぶる。
しかし、冷静に考えてみると、それはただの「バッグ」「時計」「スカーフ」である。もっと軽くて丈夫な無名ブランドのバッグは存在するし、時間を知るだけならスマートフォンで十分だ。それでもなぜ、人はブランドに惹かれるのか。
その理由を、“波と粒”の物理的視点から読み解いてみよう。
観測によって変わる「波」と「粒」
量子力学には「波と粒の二重性」という有名な性質がある。電子や光といったミクロな存在は、観測の仕方によって“波”にも“粒”にもなる。
この考え方を現代社会に応用すると、興味深いことが見えてくる。
ブランドという存在は、観測者(=見る人、評価する人)との距離が遠いほど“波”として広がり、印象やイメージ、空気といった曖昧で強力な力を発揮する。近づいて冷静に「物体」として見れば、「機能性は普通」「値段に見合ってない」といった“粒”の側面が見えてくる。
ブランド=波動でできた価値
ブランドとは、物体以上に「社会的意味」や「空気感」で構成されている。
- 「あの人はロレックスをしている」
- 「エルメスのバッグを持っている女性は気品がある」
これらは、モノ自体ではなく、それを取り巻く波=雰囲気・評判・磁場に私たちが影響を受けている証拠だ。
ブランドには、それが放つ“波動”がある。これは物理でいう「波長」「振幅」といったものに似ていて、「波長の長い高級ブランドは長期的に広く影響を与え、振幅の大きいブランドは強い印象や憧れを生む」などと読み解くこともできる。
現代人は“波”に支配されている
私たちは「中身」よりも「空気」「見え方」に大きく反応してしまう。SNSの世界では特に顕著で、波のように拡散される情報に踊らされる。
ブランドを買うとは、その“波”を自分にまとう行為だ。それにより、他者からの評価が変わり、扱われ方が変わる。
- ブランドを持つ → 高く評価される → 自信がつく → 行動が変わる
この一連の変化も、すべて「波」から始まる。
まとめ:波を知れば、本質が見える
ブランドとは単なる“物質(粒)”ではない。 それは“波”として、社会的意味、磁場、評判という目に見えない力をまとっている。
だからこそ私たちは中身より空気に魅了される。
この“波”を見抜けるようになると、無意識の消費や比較から自由になれるかもしれない。そして、本当に価値ある「波」をまとう生き方が見えてくるのではないだろうか。